体に火照りを感じます

Q:
体に熱がこもる体質の為、日中の体温上昇が高いようです。朝晩は36.5℃、日中は37.3℃前後まで上がる日があります。37℃以上あるときでも、身体の不調は感じず、ちょっと火照りを感じる程度です。外出したときだけでなく、緊張したりした時も火照りを感じます。

A:
個人的なご相談なので、お話からだけでは判断ができませんし、責任上ウェブでのお答えは難しいかと思います。
一般的なことについてお話しますと、人の体温はその活動程度とホルモンバランスの関係などから日中に高くなる傾向があります。ものを考えて頭を使ったり、体を動かすために筋肉を使ったり、食事をして胃腸が動くには、みなエネルギーを燃やすわけですからその際に発熱が起こり、若干の体温上昇があるわけです。代謝に関係するホルモン(副腎ホルモンや甲状腺ホルモン)の日内変動も体温には影響します。体温は早朝午前4~6時に最も低く、午後2~8時に最も高くなります。最低温と最高温の差はふつう1度以内です。女性では月変動がみられ体温は月経前期に低く、排卵に一致して0.5~1.0度急に上昇し、月経後期にはこの高体温が持続します。もちろん外気の影響も受けますし、怒ったり感情の変化などでも体温は変化します。
耳での体温測定は体から出る(この場合は鼓膜からの)赤外線を利用しています。その製品としての許容誤差は0.2度と定められています。もちろん正しい測定ができていることが前提のお話で、耳での体温測定は耳垢がつまっていると誤差を生じたり、向きが悪いと大きくずれるので、測定する人の技術も要求されます。
簡単に熱があるかどうかの目安をつけるには問題ありませんが、一般の人が体温の変化を見るために正確に測定するには脇や口の中で測る方が適切でしょう。
ちなみによく耳で測ると高くでるという話がありますが、たしかに人の体の温度は部位によって違うため、耳と脇の温度も基本的には異なります。また、耳と脇の温度の関は、同じ位の人、高い人、低い人とまちまちです。ですから、一概に脇と比較して高い、低いとは言えません。耳には耳の、脇には脇の平熱があるので、あらかじめそれを知っておくことが大切です。
SARS問題でいたるところで体温測定が行われますが、あくまでもスクリーニング(とりあえず熱がある可能性のある、疑わしい人をふるいわける)目的ですし、平熱は個人個人違うわけですから、その値自体に即、病的な意味があると考えるのは正しくありません。
医学的には、体温が37℃以上では、運動、直射日光などによる高体温症、細菌感染などによる発熱が疑われますが、必ずしも病的なものとは限りません。38度以上の熱となれば病気の可能性が極めて高くなります。
「ほてり」というものは、もちろん発熱とともに感じることもありますが、必ずしも体温と関係するわけではありません。皮膚表面の末梢血管が何らかの原因で拡張すると、ほてりとなります。恥ずかしいことがあったりして、顔が赤くなってほてることがありますが、これは交感神経の働きで、この場合は正常な生理反応です。緊張した場合も同じことが起こりえます。その他、原因は多岐にわたり、何か病気が原因であったり、薬の影響や更年期などでも同様のことが起きます。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識