ぎっくり腰の即効性があり有効な治療法は?

Q:
もともと腰痛持ちで、ぎっくり腰もなんどかなったことがありますが、先日ひさびさにぎっくり腰になってしまいました。整形外科で消炎鎮痛剤と筋肉弛緩剤をもらい安静にして2週間ほどで治りましたが、仕事があるため即効性のある治療があればと思いました。カイロプラティックや鍼、灸などはぎっくり腰に即効性はあるのでしょうか?危険はないのでしょうか?他に即効性があり有効な治療法があればあわせて教えてください。

A:
いわゆるぎっくり腰とは急激に発症する腰部の激痛の総称名で、いろいろな原因が考えられます。

主なものには椎間板ヘルニア、骨粗しょう症による圧迫骨折、椎間板関節包の異常陥入、その他病的骨折などがあります。

原因によって対処法は異なるわけですが、いずれにしてもまずは絶対安静が原則です。生活面では固めの布団に寝るようにすること、重いものを持たない、姿勢に気をつけるなどの注意が必要です。急性期には薬物治療を行いますが、非ステロイド系消炎鎮痛剤と筋弛緩剤を併用します。あまりに痛みがひどい場合にはステロイドの注射を行うこともあります。

こういった治療で多くの人は2週間程度で改善しますが、それでも改善しない場合は精密検査が必要となります。

急性期を過ぎたらホットパックで暖めるなど温熱療法を行ったり、牽引を行ったり、理学療法を行ったりします。しかしながら湿布も含めてこれらの治療には有効だという明白なデータはありません。文献的には治療には無効で、痛みを緩和する精神的効果といわれています。同じくカイロプラティックや鍼、灸なども治療効果はなく、急性期に行うと逆に症状を悪化させたり、時に麻痺など神経合併症生ずることもあり、慎重に行う必要があります。また中心性ヘルニアが疑われる場合には絶対に行ってはいけません。

基本的にぎっくり腰はヘルニアなど構造の問題が絡んでいる事が多く、手術以外の方法でそれが改善するとは考えにくく、他に根本的な治療法がありません。軽度のものであれば急性期に安静を保ち、あとは日ごろ腹筋背筋を強化し、体操療法を行い、腰に負担をかけない生活をするよう予防に努めるしかありません。

ぎっくり腰を含めた腰痛にはいろいろな治療法が存在しますが、ほとんどは根本的な治療ではなく一時的な痛み緩和効果を期待したものです。人間の体はより強い刺激を受けると、それよりも弱い刺激は感じなくなります。蚊に刺されて痒いときに皆さんはよくその部分を掻くと思います。そうすると一時的にかゆみが和らぐでしょう。それと同じで腰痛もその部分にそれよりも強い刺激(暖めたり、冷やしたり、マッサージしたり)を与えると当初の痛みが一時的に感じなくなるのです。直ったわけではありません。掻きすぎると後でもっと痒くなるように、腰痛もあまり刺激を与えると余計にひどくなりますので注意しましょう。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識