食物アレルギー

食物アレルギーとは、食べ物の成分が体の免疫機構の過剰な反応を引き起こして、不都合な症状が現れることをいいます。
反応が起こるまでの時間や症状はさまざまであり、非常に幅広い概念です。

たとえば、そばやピーナッツで有名な即時型症状の場合は、口にするとすぐ(通常2時間以内)に息が苦しくなる、ぐったりするなどの全身性の強い症状が出ますし、赤ちゃんで下痢が長引いている原因が特定の食物である場合や乳児期のアトピー性皮膚炎の悪化要因として食物アレルギーが関与している場合もあります。

特殊なタイプとして、ある食物を摂取したあとで運動をすると全身性の症状が出る「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー」というのもあります。

診断には食物と症状の因果関係を証明する必要があり、それには両者について時間を含めて細かく記載した「食物日誌」が役に立ちます。血液検査による抗体検査(特異的IgE)は実際の症状を反映していないことが多く、過剰な食物制限につながる可能性がありますので、結果の解釈には注意が必要です。

プリックテストという、皮膚に対象となる食物を塗ってプラスチックの針で刺す検査は、皮膚の細胞の反応を見ており、より実際の症状に近い結果が出ます。
治療は、最小限の食物除去が基本ですが、特に小児の場合は成長障害を引き起こさないよう、不要な過剰制限は避けなければいけません。

かゆみに対して抗ヒスタミン薬が用いられることもありますが、食物アレルギーに対する特効薬は存在しません。
何を除去し、いつごろからどの程度食べていくかという計画は、専門の医師の指導のもとで立てる必要があります。