日本人医師に聞く「個人でできるヘイズ(煙霧)対策」
1997年に記録した史上最悪のPSI指数226の記録を更新した今回のヘイズ、健康被害が心配されます。そこで、ラッフルズジャパニーズクリニックの林医師に「個人でできるヘイズ対策」をお聞きしました。
史上最悪のヘイズ(煙霧)に対して、個人でできることはなんでしょうか?
それには敵を知り、自分を知ることです。
ヘイズは臭いも大変ですが、PM2.5やPM10と呼ばれる微粒子が健康を害すると考えられています。PM2.5は花粉よりも小さく一般的なマスクでは効果は限定的だと言われています。
一方HEPAフィルターなどを利用した空気清浄器の効果は期待できます。居室寝室など滞在時間の長いところで利用することをお薦めします。
シンガポールでは環境省が大気汚染指数(PSI)をサイトで更新しています。
※アクセス集中の為、つながりにくいこともあります。
101 ~ 2 0 0 が「 健 康 に 影 響 が あ る 」水 準 、 2 01~ 3 0 0 が「 健 康 に 非 常 に 影 響 が あ る 」水 準 、300を超えると「 危 険 」とされています。
風向きや降雨などの気象条件で数値は変動するので、報道やネットやアプリを参考にしてください。
自分を知る
自分を知るというのは、数値だけでなく、どの程度の大気汚染で自分にどのような症状がでるのかということになります。数値はあくまで目安ですので、数値が低めであっても、ご自身で症状を感じたり、おかしいなと思う時は屋外での運動・活動を最小限にするなど工夫してください。
成長途中の小児や高齢者、そして呼吸器などに慢性の状態がある方はより悪影響を受けやすいと言われています。大気汚染というと、眼、鼻、のどの症状が連想されますが、大気汚染が酷いと心臓発作が増加するなど循環器への影響も分かって来ています。高脂血症、メタボ、糖尿病、高血圧、慢性腎疾患などの生活習慣病のコントロールも重要になります。
また大気汚染は妊婦さんにも影響し、赤ちゃんに悪影響が出るかもというデータも複数出てきています。
症状が続く場合は
咳は生体の防御反応でもあるので、やたらと止めればいいというわけではありません・・・やはり原因を出来るだけ取り除くことが重要です。去痰薬が役立つ場合もありますので症状があれば早めにご相談ください。
大気汚染が引き金になり感染も併発したり、気管支喘息発作はじまることもあります。
これを機会に卒煙を
中国の大気汚染の時にも報道されましたが、能動・受動喫煙はPM2.5の濃度で考えると北京の大気汚染がもっとも酷い時(PM2.5 700)に相当します。喫煙は相乗的に働きますので、これを機会に卒煙もお薦めします。
ラッフルズジャパニーズクリニック 医師 林 啓一
林 啓一(はやし けいいち) 医師
東京大学医学部卒業
東京大学医学部小児科入局
ハーバード大学院公衆衛生修士、理学修士
国連児童基金ブータン勤務、帝京大学勤務、成育医療センターアレルギー科研究員などを経て、2009年から上海ParkwayHealthなどで勤務。
上海では中国で問題となった大気汚染(PM2.5)も経験した。
2013年5月より現職
日本プライマリケア連合認定医
日本小児科学会会員
日本アレルギー学会会員
米国心臓協会BLS/ACLS プロバイダー
Certificate in Travel Health(tm) (国際渡航医学会認定医)
「上海ではアレルギーだけでなく、大人のメンタルヘルスも診療しておりました。シンガポールと日本の専門家と協力し、こどもや家族の健康に関することなら何でも相談できるかかりつけ医を目指します。プライベートでは2男1女の父です。」