この国に来てから抜け毛がきになります。

Q:
この国に来てから抜け毛がきになります。
年齢的なものもあるのでしょうが、予防法はありますでしょうか?

A:
ご質問は男性型脱毛症についてのようなので、それについてご説明いたします。
男性型脱毛症では、主に男性で、早いと20歳代前半から頭髪が薄くなります。とくに頭頂~前頭の毛が軟毛になります。毛の成長期が短縮し休止期毛の割合が増加して、毛包のサイズが縮小し、終毛が軟毛化するのです。
この毛根のミニチュア化現象は、思春期に体の中に増えるアンドロゲン(男性ホルモン)の作用によるものです。アンドロゲンが作用すると、頭の毛は薄くなり(軟毛化)、ひげ、胸毛、陰毛などは濃くなる(硬毛化)という逆の現象が起きます。同じ毛でありながら逆の現象が何故起こるのかは、未だ解明されていません。ただし、誰でもなるのではなく、遺伝的な素質が大きく左右します。また、
女性でも、軽い男性型脱毛症になることがあります
男性型脱毛症は「病気」というよりは、生理的なもの、つまり人体の自然現象ですので、治療の対象とはなりません。また、環境要因より遺伝的要因が強いので生活習慣の改善では効果が期待できません。
しかし、美容の分野では様々な研究が進み、いわゆる育毛剤が数多く開発され、市販されています。最近のものはある程度の効果が期待できるようになっていますが、数年間も毛が伸び続けるほどの効果があるものは、今のところありません。
日本にはありませんが、シンガポールを含む諸外国には認可された内服薬も存在します。効果の程度は育毛剤と同様です。植毛も一手段ですが、側頭部などの自分の毛を毛根ごと移植するのは有効です。
自分の組織ですので問題なく生着して、元の部分の毛の性質を保ったまま、生え変わりもします。しかし、ナイロンなどの人工毛を頭皮に植え付けるようなことは厳禁です。異物反応を多かれ少なかれ起こして、化膿したり脱落しますし、安全とはいえません。残っているやや太い毛に人工毛を巻きつけて、みかけ上、多くみせる方法もありますが、その毛が毛周期で脱落すれば人工毛も脱落しますので、お金をかけたわりには長持ちしません。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識