妊娠中の点眼薬使用について
Q:
妊娠3ヶ月の妊婦です。
年間を通してのアレルギーもちで、シンガポールに来てからも、こっちの眼科で処方してもらった抗アレルギー剤の点眼薬を常用していました。
妊娠6週目くらいまで、一日2回一滴ずつ点していたのですが、胎児に影響がないかどうかとても心配です。6週目くらいからは一応心配だったので、点眼をやめています。眼科の先生に尋ねると、今までに奇形の例はないが安全性が確立されているわけではないので、使用を停止してください。痒くてどうしてもしようがない場合のみ使用してくださいとのことでした。
ちなみに点眼薬はOPTICROMというイギリスのFISON社が製造しているものです。最近また痒みが出てきたので使用しようか迷っているところです。
A:
OPTICROMは日本ではインタールという抗アレルギー薬です。薬の添付文書には妊婦に対しては「有益のみ(動物で胎児毒性)」とあります。これは点眼薬だけでなく、内服薬のインタールにも共通の内容です。「有益のみ」の意味ですが、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合だけ使用するということです。「動物で胎児毒性」というのは、動物実験の結果では胎児への有害作用の頻度を増大させるという証拠が得られているが、この点に関するヒトへの意義はまだ不明であるという意味です。
一般に、妊娠3週末までは、仮に薬の影響があっても流産するか、完全に影響が修復されるかのどちらかなので、残留する薬でなければ出生児に影響はありません。4週から7週末までは重要な臓器が発生・分化する時期なので、治療上の有益性が危険性を大幅に上回ると判断される場合以外は、薬物は極力避けるべきです。
これ以後は胎児の薬に対する感受性は減少しますが8週から15週末には性器の分化や口蓋の閉鎖などがなされるため、ステロイドホルモン剤などの使用には慎重になるべきです。
16週以降は臓器の形成は終了し、発育の時期です薬の影響は比較的受けにくいですが薬の種類、使用法、使用期間によります。一般に短期間であったり、点眼や塗布といった方法は使用量がごく少量で血中移行もかなり少ないでしょうから、内服よりもはるかに影響が少ないでしょう。
いずれにしても最終的には患者さん自身納得できる事が必要です。上記の内容を参考に、もう一度主治医にご相談ください。