妊娠中にMMRの予防接種
Q:
妊娠する1ヶ月前と妊娠4週目あたりに妊娠を知らずにMMRの予防接種を受けてしまいました。
現在、妊娠7週目になりますが、生まれてくる子供の健康状態で非常に悩んでいます。
MMRを不注意に妊娠中に接種してしまった場合、どのくらいの割合でどのような障害が将来考えられるのでしょうか?また、今後の対応として、どのような選択肢がありますでしょうか?
A:
MMRはご存知のように麻疹おたふくかぜ風疹の混合ワクチンです。この場合、問題になるのは風疹ワクチンでしょう。風疹は妊娠早期に罹患すると先天性風疹症候群と呼ばれる先天異常児を出産する可能性が高いので、それ以前に免疫があることを確認します。
成人女子については通常、ワクチン未接種で風疹にもかかった事が無い場合は、まず抗体検査をして陰性であれば予防接種を行います。その場合、妊娠していないことを絶対の条件とし、接種後2ヶ月間(アメリカでは3ヶ月間)は確実に避妊する必要があります。そして、ワクチン接種後2ヶ月(アメリカでは3ヶ月)ごろに再度抗体検査を行って免疫ができたことを確認し、医師は患者に避妊解除を指導します。
接種後に妊娠に気づくこともありますが、風疹ワクチン中のウイルスがどの程度の催奇形性を持っているのかは明確なデータはありません。つまり先天異常を起こす可能性は全く無いとはいえないのです。しかしながらアメリカでは接種後に妊娠に気づいた場合の調査を行っていますが、それによると出生例に風疹による先天性異常が報告されたことはありません。出生児の1~2%は生まれながらに風疹抗体陽性で、胎内でウイルスに感染した事が認められますが、追跡調査でも異常は報告されていません。
この結果から、アメリカでは万が一妊娠が発覚しても直ちに中絶の適応となるものでは無いとし、最終的には患者と医師との相談によるべきとしています。麻疹やおたふくかぜについても、通常妊婦への接種は行われませんが、同様にワクチン中のウイルスがどの程度の催奇形性を持っているのかは明確なデータはありません。基本的には風疹に準じるといえます。