肺炎球菌について
Q:
肺炎球菌について、過去の相談一覧に接種方法が載っていたのですが、(接種方法ですが、生後2ヶ月以降の新生児および2歳未満の小児が対象となります。通常は2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、および12~15ヶ月というスケジュールで実行されます。)私の娘はシンガポールで2006年4月に肺炎球菌の予防接種を受けました。このとき娘は3歳でしたが、予防接種の前に、「2歳以降に1度この肺炎球菌の予防接種を受けていれば一生免疫がつく」ということでした。この説明は正しいのでしょうか?また、この説明が正しい場合、免疫が一生続く予防接種の年齢は何歳までですか?
A:
以前お答えしたように、乳幼児期に行う肺炎球菌ワクチン(7価)の目的は、主に2歳未満の小児における抗生物質耐性菌による侵襲性肺炎球菌感染症(肺炎、髄膜炎、敗血症など)を防ぐためのものです。乳幼児以降の小児および成人の肺炎球菌感染を防ぐための予防接種ではありません。
米国において、6歳未満の小児にみられられた侵襲性肺炎球菌感染症の原因のおよそ80%を占めた7種類の肺炎球菌に対するワクチンです。米国小児科学会では生後2ヶ月以降の新生児および2歳未満の小児への接種を推奨しています。米国でこの肺炎球菌ワクチンが導入されて以来、侵襲性肺炎球菌感染症の発生率は大幅に減少しました。このワクチンが標的とする肺炎球菌の血清型による5歳未満の幼児での侵襲性肺炎球菌感染症発生率は94%減少したことがわかりました。しかし、このワクチンが標的としていない血清型による侵襲性肺炎球菌感染症の発生率の減少はありません。このワクチンを接種したからといって100%肺炎球菌感染症にかからないわけではなく、ワクチンが標的としない血清型の感染を予防することはできないのです。
一方、肺炎球菌ワクチン(23価)は、これとはまったく別のワクチンで、2歳以上に接種可能です。
肺炎球菌には80種類以上の型がありますが、肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、そのうちで感染する機会の多い23種類(肺炎球菌による感染症の80%を占める)の型に対して免疫をつけることができます。
1回の接種で5年程度効果があるといわれていますが、再接種により副反応(アレルギー)が出るとの理由で、現在は一生に一回しか接種出来ないこととされており、一般的には若年者には勧められず、肺炎球菌感染による重症化リスクが高くなる65才以上の高齢者に勧められます。