卵アレルギーの対策方法

Q:
11ヶ月の娘が、先日初めて卵を食べさせたところ、3回目で口の周りが赤くなりました。(ニキビのようにポツポツと赤い点が出た)病院に相談したところ、おそらく卵アレルギーだろう、と言われ、検査はせずに三ヶ月後に再度試してみるように指導されました。それ以前から鶏肉も食べさせていますが、これは問題なかったようです。インターネットで調べると、いろいろな対策方法があるようにも見受けられます。質問ですが、もっと何か積極的に治療を進めた方がいいのか、それとも様子見がいいのか、検査を行った方がいいのか、ご意見をいただけるとうれしいです

A:
食物アレルギーは食べた食品が抗原となって、喘息や下痢腹痛、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などさまざまな症状を呈することを言います。2歳ぐらいまでに出現する事が多く、卵や牛乳は抗原となる代表的な食品です。食物アレルギーが疑われる場合、いくつか検査方法があります。通常は食べた後数十分以内に症状が出現する即時型アレルギー(I型アレルギー)と関係が深いので、RAST法と呼ばれる血液検査で確かめる事ができます。しかしながら、他の種類のアレルギーもあるので血液検査で陰性だからといって否定はできません。また、血液検査は身体に侵襲的な検査なのでお子さんに恐怖感を与えることもあり、本当に可能性が高い場合を除いては、むやみに行うべきではないと思います。それよりも食事内容を検討し、症状出現と本当に関係しているかまず確かめるべきでしょう。疑わしい食品を2~4週間ほど完全に除いて、その間症状が出現しないかよく観察します。その間症状がなく、再開して症状が再度出現するようなら原因としての疑いが強くなります。

食物アレルギーが明らかになった場合、その症状の程度に応じて治療が必要になりますが、食事制限以外の治療法でうまくコントロールがつくようなら食物にそんなに神経質にならなくてもいいでしょう。吸入性アレルギーと違い、食物アレルギーは大多数が成長と共に消えていきます。消えていくケース、消えにくいケースを判断して治療法を選ぶ事が大切です。あまり一部の軽い皮膚の症状のみに目を奪われ、無謀な食品回避を行うのはかえってお子さんの生活や成長のさまたげになります。アレルギーが明らかで、症状も強いようなら制限食もやむを得ません。とりあえず1年ぐらいを目安にしましょう。一生避けなければならないものもあるし、だんだん食べられるようになるものもあります。そのメカニズムはまだはっきりとしていないので、経過をみながら試してみるしかありません。

以上、一般的な対処法をお話しましたが、個人個人についてはその状況次第で対処法が異なります。実際に患者さんを診ないことにはなんともいえません。ご相談の方の場合、1度だけではわからないと思います。医師の指示通り、間をあけて再度与えてみることをお勧めします。やはり皮疹が出現するようなら疑いが強くなりますが、どの程度の症状かで対処法は異なってくると思います。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識