発熱時の自宅でできる対処法
Q:
子供の頃、熱がでたら暖かくして寝て汗をかいて熱を下げていたのですが、その方法でよろしいのでしょうか?それとも、風通しをよくして、薄着でアイスノンなどをして熱を逃がすようにしたほうがいいのでしょうか?
A:
発熱は不快な症状ですが、一方では生体防御反応(体の機能を守る反応)の一つです。41℃までの発熱が脳を障害することはありません。 発熱は細菌やウイルスの 増殖に不利な環境を作るという好影響がある一方で基礎代謝、不感蒸泄(発汗、呼吸で出ていく水分)の上昇、さらに不快感、不眠、食欲不振を招くといった悪影響があるのは確かです。このような悪影響が目立つ場合、解熱剤を使う必要性が生じます。 解熱剤の使用目的は、単に熱を下げることではなく、子供の病状を改善する点にあります。一般状態が良く元気な場合には使用する必要はありません。熱性けいれんを過去に起こしている乳幼児、基礎疾患があって体力の消耗が問題になる子供、本人の不 快感が強い場合は解熱剤使用の適応になります。通常は38.5℃以上のときに使用して下さい。以前日本ではメフェナム酸(ポンタール)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)などが解熱剤として汎用されていましたが、インフルエンザ脳症への関与が指摘され、現在は使用しません。小児に比較的安全に使える解熱剤はアセトアミノフェン(カロナール、パナドール)とイブプロフェン(ブルフェン)であるというのが、現在の世界的に共通した見解です。あまり馴染みがないかもしれませんが、30℃程度のぬるま湯でゆるくしぼった手ぬぐいを用いて体をふくやり方は、シンガポールでは一般的で、日本でも小児科で勧められています。 こうしたことで体温を安全に38℃ぐらいまで下げることが出来ます。
また、少し冷えた水分を取ることでも熱はいくらか下降します。氷嚢などで頭を冷やすのもいいでしょう。高熱のときは太い血管が比較的皮膚の浅いところにあるわきの下や足の付け根を氷嚢で冷やすと効果的です。一般に熱が上がってくる過程では、人は悪寒を感じます。熱が上がりきると体が熱く感じるようになり、汗をかきます。ですから、熱が上がってきたときには布団をかけたりして寒く感じないようにします。熱が上がりきったら汗がでるので、今度は薄着にして、氷嚢などを当て、なるべく余計に汗をかかないようにしましょう。かいた汗は体が冷えないうちにふき取ったり、衣服を着替えるようにします。汗が冷えて急に体温が下がると免疫細胞の活性化が阻害されて病状悪化の原因になるからです。