9ヶ月の子供の麻疹ワクチンについて

Q:
9ヶ月の息子の麻疹ワクチンについて伺います。9月中旬に一時帰国(東京)予定なのですが、関東で麻疹が流行していると聞きました。保育所には入れていないので1歳でMMRの予定でいたのですが、渡航前に(9ヶ月で)麻疹ワクチンを接種させたほうが安心でしょうか。その場合MMRの接種にはどのくらいの間隔をあけるのでしょうか。渡航は見合わせたほうがいいのでしょうか。知人の娘さんが4ヶ月で麻疹にかかったので心配です。

A:
通常、1歳未満のお子さんはお母さんからの免疫を受け継いでおり、麻疹などのウイルスに対する抗体を保有しているので感染する可能性はあまりありません。ただし、 6ヶ月ぐらいからは徐々に免疫が低下傾向にあり、個人差がありますが中には感染するお子さんもいらっしゃいます。予防接種はあまり早くに行うと、そのお母さんから受け継いだ免疫による干渉作用で、予防接種の効果が出ません。そういった事態をなるべく避けるために、日本の予防接種は1歳から、シンガポールにあるMMRは1歳3ヶ月からの接種となっています。しかしながら、身近な子供が発症したり、流行時期には、1歳前でも予防接種をすることもあります。ですが、その場合は先に説明したとおり、十分に抗体ができない可能性もありますので、1歳を過ぎてから再度接種を行う事が勧められます。ちなみに予防接種の効果がでるには、接種後約2週間ほどが必要です。もしも今接種を行うとして、MMRの接種を予定していたのであれば、何も麻疹単独に切り替える必要はありません。MMRを接種すればいいでしょう。その場合、1歳3ヶ月を過ぎてからの再度の接種をお勧めします。感染を防ぐ最大の方法は感染機会を減らすことですが、この件だけで渡航を延期する必要はないと個人的には思います。どの程度まで対策を講じるかは決まった方法はなく、最終的には個人の判断になると思いますのでこのお話を参考にしてください。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識