日本脳炎の予防接種について
Q:
日本では副反応の影響で、新しいワクチンが開発されるまでワクチン接種の推奨もなくなったと聞いたことがあります。シンガポールで接種する場合は、日本で問題となっていたワクチンと同じものなのでしょうか。また、もし同じワクチンであったとしても副反応のリスクよりも感染のリスクが高いと考えて接種したほうがよいのでしょうか。3歳3ヶ月の子供がおり、ワクチン接種について悩んでいます。教えてください。
A:
まず、シンガポールで使用されている予防接種ですが、日本のものと同じです。日本脳炎ウイルスは、人、馬、豚、鳥などに感染するウイルスで、感染動物の血を吸った蚊に刺されるとその唾液で感染します。感染を受けてもブタの場合は脳炎は起こしません。人や馬の場合は脳炎を起こす可能性があり、その頻度は感染者の1000人に1-20人といわれています。日本脳炎ウイルスはアジアにおける脳炎の最大の主要病原体で、南アジア、東南アジア一帯に広く分布していますが、ここシンガポールでは日本同様流行はまれです。ちなみにシンガポールでは日本脳炎予防接種はスケジュールになく、シンガポール人は予防接種を行っていないのが普通です。ただ、1969-71年にはタイで、1973年にはインドベンガル地方で大流行しています。マレーシアやインドネシアでも地域的流行がみられ、ジョホールやバリ島でも患者が発生してます。日本では1954年以降予防接種が実施されました。定期接種として行われるようになったのは1995年以降です。1966年までは毎年1000人以上、時に5000人の患者発生がありました。1972年以降は100人以下で、1992年以降は年間4人以下のペースになっており、これは予防接種の効果といえるでしょう。日本では現在再び任意接種になってしまいましたが、一部に今後日本脳炎患者が増えるのではという懸念もあります。危険が明らかでメリットのない薬であれば使用禁止になります。日本脳炎予防接種は定期接種が中止となっただけで、予防接種自体は使用禁止にはなっていません。どんな薬でもリスクはあります。メリットがリスクを上回ると考えられる時に薬は使用されます。現状では、行うかどうかは最終的にはご両親の判断で決まるわけですが、上記の内容を参考にして、メリットが大きいと判断できましたら、接種を行うのがいいでしょう。