子どものA型、B型肝炎の予防接種

Q:
A型、B型肝炎の予防接種について悩んでおります。
大人の私は接種済なのですが、子どもにも接種した方が良いですか?

A:
A型肝炎はA型肝炎ウイルスの経口汚染によって発症します。特に貝類の生食による事が注目されています。日本人の場合魚介類の生食を好むので注意が必要です。
症状としては発熱を伴って肝障害を起こしますが時に劇症肝炎や急性腎不全に至ることもあります。
なお、子供の場合は不顕性感染(感染しても症状が出ない)で終わる事が多く、あっても軽い黄疸や発熱程度で済んだりします。
日本では生活環境が整備され、患者の発生件数は急激に減少しました。その結果50歳以下の世代ではほとんど免疫を持っていません。予防接種で免疫をつける必要があるわけです。
海外、特に東南アジア地域ではウイルスに感染する機会も多く、予防接種が勧められます。なお、日本では手続きを踏んでいない都合上、16歳未満には適応がありません。しかしながら海外では小児でも接種が可能です。

B型肝炎はキャリアと呼ばれるB型肝炎ウイルスを持った人の血液に接触することによって感染します。このキャリアの存在がB型肝炎の最大の問題点です。
日本ではキャリア率は1~2%ですが東南アジアでは10%前後といわれています。大人になってから感染すると急性一過性肝炎をおこすことがほとんどで、キャリア化する事はありませんが、乳幼児など免疫機能がまだ未熟な状態だと高頻度にキャリア化します。キャリアを減らすために東南アジアのようにキャリア率が高い地域では出生児を対象として予防接種が行われており、シンガポールでも生後すぐに予防接種を行います。

以上の事実をふまえた上で決めるのがいいでしょう。個人的には接種しておくに超したことはないと考えます。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識