5種混合の予防接種について

Q:
現在4ヶ月の子供がおります。こちらで出産したためローカルの小児科クリニックに通っています。予防接種も同クリニックでしてもらっているのですが、その中で5種混合というのがあります。そこのクリニックでもらったスケジュール表には、5種混合が入っていましたので、既に2回目を受けてきましたが、日系のクリニックの予防接種表を見ると、5種混合という項目はなく、3種混合となっています。シンガポールでは、5種混合が普通なのでしょうか。
また、18ヶ月の時に追加接種があるのですが、この時期には既に日本に帰国していることも考えられます。このまま来月も3回目を受けていいものか。ちょっと混乱しています。
はじめにもっとちゃんと調べておけばよかったのですが。アドバイスよろしくお願い致します。

A:
5種混合ワクチンははいわゆる3種混合ワクチンにIPV(不活化ポリオワクチン)とHib(ヘモフィルスインフルエンザ菌)ワクチンを加えたものです。
欧米では普通に使用されており、シンガポールでも私立の小児科では一般的です。IPVには、経口生ワクチンでさけられないワクチン自体でポリオにかかってしまうというリスクがありません。従って、野生のポリオが絶滅したような地域では経口生ワクチンからIPVに切り替えるべきで、日本でも切り替えの話が数年前からありますが、未だに行われていません。
Hibは乳幼児の髄膜炎を引き起こす事で問題となっており、諸外国ではかな以前より予防接種が行われています。日本では最近やっと任意接種が可能になる予定です。
5種混合が導入されている国は基本的には先進国で、そういった意味では日本も本来は導入されてしかるべきですが、日本の予防接種事業はかなり遅れているのです。

接種方法は3種混合ワクチンと同じスケジュールで、1ヶ月おきに3回接種を行い、1年後に4回目を行います。IPVは経口生ワクチンより効果が薄いので確実に4回行う事が必要です。
ご相談の件ですが、とりあえず3回目は5種混合で受けるべきでしょう。日本に帰国された場合は5種混合の追加接種は不可能ですので、かわりに3種混合ワクチンととポリオの経口生ワクチンを行う事をお勧めします。Hibワクチンに関しても、もしも任意接種が開始されていれば、別途、接種を行えばいいでしょう。
注意事項ですが、IPVを3回だけで終わらせるのでは不十分ですので、必ずポリオの経口生ワクチンは追加するようにしましょう。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識