インフルエンザワクチンはシンガポールで接種可能でしょうか

Q:
インフルエンザワクチン接種をSARS復活の事前対応手段として、日本や中国で推奨しているとニュースで知りました。シンガポールでは接種可能でしょうか? また、接種年齢は何歳からでしょうか?妊婦や新生児の接種は可能でしょうか?

A:
昨年末より世界を騒がせたSARSが沈静化してはや3ヶ月が経とうとしています。
しかしながら、北半球で気温と湿度の低下する冬季にむけて、SARSの再流行も危惧されているのが現状です。つい先日も新たなSARS患者が発生し、幸いにも流行の兆しはなく収束に向かいそうではありますが、今後に向けてよりいっそうの警戒が必要であることは言うまでもありません。
そういった中で、これからの北半球での冬季に向けて大きな問題となりえるのがインフルエンザの流行です。皆様ご存知のようにインフルエンザは突然の持続する高熱と咳をはじめとする気道症状が主体の疾患です。時に肺炎に発展するケースもあり、気道感染症の中でもSARSとの鑑別がもっとも困難な疾患であります。

インフルエンザに罹患すると、初期にはSARSとの鑑別ができないため、SARS疑い例として対処せざるを得ない事態が想定されます。そこでWHO(世界保健機構)およびMOH(シンガポール保健省)は医療従事者およびインフルエンザに罹患するリスクの高い人々には予防接種を強く勧めております。

一般の方についても、同様のリスクは存在します。個人防衛の立場からはインフルエンザ予防接種を行うのが望ましいと思います。当然のことながらシンガポールでも予防接種は可能です。

なお、WHOでは10月から11月の半ばには接種を完了するよう勧めております。予防接種の数にも限りがあり、今年は不足も心配されております。ご希望の際は早めに相談するのがいいでしょう。

接種年齢についてはワクチンにより異なりますが、シンガポールで一般的なワクチンの添付文書には1歳以上と書かれています。アメリカの勧告では6ヶ月以降となっています。何歳から可能かといわれると6ヶ月以降ということになりますが、3歳未満の小児の場合、ワクチンの有効性は今だ確立しておらず、その効果は薄いのではないかと考えられています。そこで、集団生活をしていたり、もともと何か疾患を抱えているリスクの高いお子さん以外は、3歳以下の場合予防接種は一般には勧められていません。ですから新生児時の場合は予防接種は通常行いません。

インフルエンザワクチンは母乳を与えている母親や妊婦も安全に行えると考えられています。過去にインフルエンザによる妊婦の死亡率の増加が確認されており、インフルエンザ流行期に妊娠14週以上となる妊婦は予防接種を受けるべきといわれています。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識