MMRについて

Q:
麻疹、風疹、おたふく風邪はそれぞれ1歳以上で接種したほうがいいとありますが、それを3つあわせたMMRはどうして1歳3ヶ月になっているのでしょうか?教えてください。

A:
麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘といった病気にかかると、体の中に免疫(抗体)ができます。これは病原体に対する抵抗力ですが、その病原体に感染した記憶が体の中に一生涯にわたって残っていて、そうなると二度とその病気にかかることはありません。この状態を終生免疫を得たといいます。これらに対するワクチンは病原体自体の毒性をなくしたり弱めたりしたりして作られます。それを体内に接種することによって、病気にかかったときと同じように抵抗力(抗体)ができるわけです。
赤ちゃんはお母さんからさまざまな病気に対する抵抗力(免疫)を受け継いで生まれてきます。しかしながら水痘では3ヶ月、麻疹、風疹、おたふくかぜでは8ヶ月ころまでに自然に失われていきます。ですからこの時期を過ぎると、赤ちゃん自身で免疫を作って病気を予防する必要が出てきます。これに役立つのが予防接種です。
予防接種をあまり早くに行うとまだお母さんからの抵抗力(免疫)が残っているので、十分な免疫が作られません。お母さんからの免疫がある程度なくなるのを待つ必要があるわけです。その時期としては一般には1歳前後が適当といわれております。もちろん個人差もありますし、特定の日を境に急に変化するわけではないので、厳密にいつからでないとだめと決められるものではありません。
予防接種ごとに記載してある接種時期は、基本的に日本の厚生省(現厚生労働省)予防接種ガイドラインに基づいたものです。しかしながらMMRに関しては日本に存在しないので、シンガポールで使用されているワクチンの使用説明書に記載されたものに基づいています。1歳以降も1歳3ヶ月以降も、その意味するところはお母さんの免疫が消える1歳前後ということで、表現法の違いぐらいの認識でいいと思います。実際、MMRを1歳で接種することは可能ですし、その場合に効果が期待できないわけではありません。ただし、何らかの理由でMMRを1歳前に接種した場合は、確実な免疫をつけるためには再接種が望ましいです。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識