医療費

Q:
シンガポールに在住する永住権をもつ日本人ですが、今度日本にいる母を呼び寄せて一緒に住むのですが、医療費が気になります。日本の健康保険を使う際の翻訳は娘の私がしても構わないのでしょうか?また日本の高度医療費控除をシンガポールで受けた手術でも請求できるのでしょうか?

A:
海外で治療を受けた時の医療費について、日本で加入している国民健康保険(海外に転出届けを出して日本に住民票のない方は加入できません。)や社会保険でも国内での医療費と同じように保険給付が受けられます。
ただし医療費の全額を一時的に自己負担する必要があります。本人が、後に日本で保険給付のための請求手続きを行うことによって保険給付金が支払われます。
この場合、日本国内で医療機関にかかった場合と同じく自己負担分(3割)があります。
また、支給される疾病等の対象範囲は、日本国内で認められている医療行為、保険診療の範囲内での保険給付となります。臓器移植、性転換手術、医療目的で渡航した場合は、医療費の趣旨に反するため保険給付の対象外となります。また、健康保険はもちろん傷害保険ではありませんので、死亡・後遺障害保険金はなく、救援者費用など関連費用はカバーされません。
費用は国内の医療機関にかかった場合の保険診療料金を標準として計算されなおされます。ですから、必ずしもかかった費用の7割が戻ってくるわけではありません。全額給付はされませんが、一般的な海外旅行傷害保険ではカバーされない既往症にある慢性疾患や歯科治療も対象となります。また、180日間保障といった期限もありません。こういった海外旅行傷害保険でカバーされないようなケースで健康保険は役立ちます。
申請時に必要なものは所定の用紙による領収明細書、診療内容明細書もしくは治療内容のわかる証拠書類です。通常は受診したクリニック、病院の医師に記入してサインをもらうことになります。また、外国語で記入の場合は翻訳文もつける必要があります。翻訳に関しては特に専門家に頼む必要はありません。ご本人やご家族が行っても問題ありません。日系のクリニックによってははじめから日本語表記をしてくれるところもあります。シンガポールで受けた手術ももちろん保険給付が受けられますが、先に述べたとおり日本の基準に当てはめて査定を受けます。日本の保険診療基準に合った治療であれば、高度医療費控除の対象にもなるでしょう。ただし入院の場合ベット代などは最小限しかカバーされない可能性が高いです。詳しくは各市町村役所の国民健康保険課におたずねください。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識