子供の麻疹の予防接種について

Q:
子供の麻疹の予防接種についてお伺いします。息子は日本で生まれ1歳4ヶ月時に麻疹の予防接種をしました。 現在8歳なのですが、ローカルの学校に通っており麻疹の集団接種があります。再接種をした方が良いでしょうか?

A:
麻疹は現在でも小児にとって重大な感染症です。時に致命的になることがあり、予防接種はどの地域でも必要なものです。ところが日本では諸外国と異なりMMRが使えず麻疹単独接種となっている上に、麻疹ワクチンの接種率は低く、アメリカからは日本は麻疹輸出国だと非難されております。

基本的には1歳以降にワクチン接種歴のある場合、麻疹抗体が陽性の場合、確実に麻疹にかかった既往がある場合のいずれかに当てはまれば年長時での予防接種は必要ないとされています。予防接種による免疫獲得率は95%以上といわれており、その後の自然麻疹での追加免疫効果(麻疹ウイルスに出くわすことで、発症はせずに免疫が強化される。)で免疫は持続します。

そういった観点から追加接種は必要ないと判断できますが、アメリカやイギリスなどでは更なる麻疹撲滅に向けてMMRの2回接種をおこなっています。これは免疫獲得がうまくいかない5%の人に免疫を与える目的と、予防接種が普及し自然麻疹がなくなると追加免疫効果を得る機会がなくなるのを補う目的があります。

予防接種で通常起こる副反応は発熱や発疹ぐらいです。また、仮に免疫のある状態で再度接種しても重篤な副反応が出やすくなるわけではありません。大きなデメリットがないのなら念のため受けるという考え方も間違ってはいないと思います。最終的にはご両親の判断になるでしょうから、上記のお話を参考にして決められたらいかがでしょうか。

ラッフルズ・ジャパニーズ・クリニック 大西医師
シンガポール 知って得する医療の豆知識